山椒と味噌とチリメンジャコ

春になると思い出します。

幼い頃、田舎に住んでいました。

春になり暖かくなると、隣のお婆さんに良く誘われました。

「嬢ちゃん、山椒の葉っぱ摘みに行かないかい。」

山椒は小粒でもピリリと辛い、で有名な植物です。

隣家の持ち山は、今で言う里山で、手入れの行き届いた明るい雑木林になっていました。

小さい木はかまどの炊きつけ用に刈られており、林の中には低木は余りありませんでした。

ただ、春になるとお婆さんが若葉を摘むということで、山椒だけはいつも刈り残されており、

林の中には芽を吹き出した山椒の木が点々とありました。

大きさは1メートルから2メートルぐらいの高さだったのかしら。

低木とはいえ幼かった私から見るとそれなりに大きい木でした。

お婆さんは山椒の若葉を摘むと、私の持つ袋の中に次々と入れていきます。

1、2時間も摘んでいると、私の持つ袋も、お婆さんの持つ袋も山椒で一杯になりました。

「家でやんなきゃいけないこともあるし、もう帰ろうかい嬢ちゃん。」

家に帰ると、お婆さんはすり鉢と山椒の木から作ったすりこぎを使って山椒の葉をつぶし、それを味噌と混ぜて山椒味噌を沢山作りました。

美味しかったこと。

また、山椒の葉とチリメンジャコを一緒に煮たちりめん山椒も作りました。

「ほら、嬢ちゃん、ご馳走が出来たよ。」

これも美味しかったこと。

私の家が引っ越しする少し前、お婆さんは亡くなりました。

私は、形見としてお婆さんが使っていたすりこぎをもらいました。

そのすりこぎは今も、その後家庭を持った私の台所にあります。

今年も春になり庭の山椒の木が芽吹いてきました。

そろそろ山椒味噌や、ちりめん山椒を作る準備を始めましょう。

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